2025-01-09
なぜ・なに公務員 Vol.2
地方公務員と民間の違い②

働き方も民間企業とは大きく違うのだろうか? 違うのだとしたら、なぜ・どのように違うの? 公務員の労働を知る!

地方公務員の労働条件
地方公務員も、雇用されて、所定の時間を働き、その対価として給料を受け取って生活するという面では、民間企業の従業員と共通しています。 そのため、労働条件の最低基準を定める労働基準法の規定は、原則として、地方公務員にも適用されます。 民間企業の場合、労働条件は、法令の範囲内で、労使間の交渉などによって決まります。 一方、地方公務員の場合、労働条件は、地方公共団体の議会で定める条例で決定しなければならないとされています。労働条件の決定には、地方公務員の雇用主である住民を代表する議会の議決が必要と考えられているためです。
地方公務員の勤務時間・休暇
地方公務員の勤務時間は、団体ごとに条例で定めることとなっていますが、ほとんどの団体では7時間45分(週38時間45分)となっています。 以前は、地方公務員というと、残業は少なくほとんど定時に帰宅しているようなイメージがありましたが、実際はどうでしょうか。 総務省の調査によると、令和4年度の地方公務員の平均時間外勤務時間数は月12.5時間となっています(令和4年度地方公共団体の勤務条件等に関する調査結果の概要)。一方、厚生労働省の毎月勤労統計調査によると、令和4年度における事業所規模5人以上の一般労働者の所定外労働時間は月13.9時間であり、地方公務員の方が1.4時間短いですが、それほど大きな差ではありません。 また、地方公務員は、配属される部署によって差が大きく、前述の総務省の調査によると、時間外勤務の時間数が月45時間を超える職員の割合は5.4%となっています。実際にはいわゆるサービス残業もあるでしょうから、実態はこの数字より多いと思います。
地方公務員の給与
地方公務員の給与は、条例で決まりますが、基準として、国家公務員や他の地方公共団体の職員の給与、民間の従業員の給与等を考慮して定めることとされています。民間の賃金水準が上がると、それに応じて地方公務員の給与も上がる仕組みになっています。 令和5年の地方公共団体の一般行政職(教育公務員、警察官、税務職、医療職、福祉職、消防職、企業職、技能労務職等を除いた常勤の職員)の年間平均給与は約639万円となっています(令和5年4月1日地方公務員給与実態調査)。 団体区分別に見ると、都道府県が約653万円、指定都市が約686万円、市が約629万円、町村が約575万円、特別区が約674万円で、指定都市が最も高く、町村が低くなっています。 国家公務員や民間と比較すると、国家公務員は約681万円(令和5年国家公務員給与等実態調査の結果)、民間の給与所得者は約460万円ですが、正社員に限ると約530万円となっています(令和5年分民間給与実態統計調査)。 この数値は、企業規模や年齢構成などで変わるので単純な比較はできませんが、民間の平均よりは相当程度高いとはいえそうです。
公務員の身分
民間企業の場合、経営状態の悪化により、人員整理が行われたり、倒産して従業員が一斉に職を失ったりすることがあります。地方公務員の場合は、解雇(免職)できる場合が法律で厳しく規制されており、地方公共団体側の理由で職を失うことは例外的なケースで、実際にはほとんどないと考えていいでしょう。法令上、地方公務員が職を失う場合は次の3つの場合があります。 (1) 懲戒免職:犯罪行為をしたり、職務上の義務に違反したりした場合などは、懲戒処分の対象となり、最悪の場合、免職となります。この場合、退職金は支給されません。 (2) 分限免職:勤務成績が極端に悪かったり、病気などのため勤務できない状態となったりした場合などは、分限処分の対象となり、最悪の場合、免職となります。この場合、基本的に退職金は支給されます。 (3) 欠格条項該当:禁錮(令和7年6月以降は拘禁)以上の刑に処せられた場合などは、法律で定める欠格条項に該当することとなり、自動的に職を失います。この場合も、退職金は支給されません。

最新の記事