2025-03-12
業務は、静岡と台湾に関するすべて
静岡県職員/市川美奈子さん
静岡県職員/市川美奈子さん

市川美奈子(いちかわ・みなこ) 40代 静岡県台湾事務所 勤務
「地方」公務員なのに「海外」?
公務員、特に地方公務員と聞くと、「その自治体の中で、県民/市民のために働く」というイメージを持っている方が多いのではないでしょうか?
ですが実は公務員には、東京や大阪など国内の他自治体での勤務(*)や、そして海外での勤務という働き方があることをご存知ですか?
私は静岡県職員ですが、2023年4月から台湾で勤務しています。

静岡県台湾事務所の勤務って?
私の勤務先は「静岡県台湾事務所」です。主なミッションは「台湾から静岡県への観光誘客」ですが、ほかにも、県産品の販路開拓、台湾から県内への企業誘致、台湾における県内企業の活動支援、市町や民間における台湾との交流支援…と、業務内容は非常に多岐にわたっています。一言でいうと「静岡と台湾に関すること、すべて」が業務内容です。
時として「静岡」だけでなく、「日本」と台湾に関することの一端を担うこともあります。台湾に事務所を置いている日本の都道府県は、静岡県と沖縄県の2つしかありません。このため、台湾側から自治体交流の相談をされたり、台湾の政府機関等が主催するイベントに招いてもらったりすることもよくあります。「台湾における静岡県の代表」としてだけではなく、「日本の地方自治体の代表」のひとりとして声を掛けてもらっていることへのありがたさとやりがいを日々感じています。

大切なのは営業マインド
私は大学卒業後、民間企業で10年近く中国・台湾関連の仕事を経験した後、34歳の時に結婚に伴う転居を機に静岡県庁に転職しました。入庁前は公務員の仕事に対してステレオタイプな偏見(いわゆる「お堅い仕事が多い」「事務仕事が多い」)を抱いていたひとりです。
ですが実際に入庁してみて、公務員の仕事には本当にさまざまなんだな…と、180度考え方が変わりました。これまで私が配属されたのが、特に外部との連携が求められる観光振興課や空港振興課だったためかもしれませんが、事業を発案したり実施したりするにあたって、民間企業にいた頃よりも営業マインドが求められていると感じる場面が多々あります。
そしていま所属している台湾事務所でも、自分は「静岡県」という商材を台湾の方々に買ってもらう営業職の人間だと思って仕事に取り組んでいます。その熱意が通じて、台湾から静岡空港へのチャーター便就航が実現したり、旅行会社が静岡をメインにしたツアーを作ってくれたりすると、嬉しさは格別です。

「教育旅行」受入先からの嬉しい声
最近、静岡県と台湾との交流において特に増えているのが「教育旅行」という交流形態。台湾の高校生が静岡県の学校を訪問したり、逆に静岡県の高校生が台湾の学校を訪問したりすることで、コロナ禍が明けてから増えています。台湾から「こういう学校を訪問したい」という要望を受けた際の県内の学校とのマッチングから、交流日当日までの細かな調整を、日台双方の関係者と連携しながら実施しています。(高校だけでなく、小学校や中学校からの問い合わせを受けることも!)
最近、嬉しい出来事がありました。それは、2023年に初めて台湾の高校生を受け入れた県内市町の担当者と民宿の方々から、「民宿はコロナで大きな打撃を受けていて、いっそのこともう閉業しようかという状況だった。2023年に台湾の高校生を受け入れたことで、地域のみんなが『もう一度頑張ってみよう』と一致団結した。いま私たちが頑張れているのは、あのときの台湾の高校生の受入があったからです」と言ってもらえたこと。教育旅行での交流は日台双方の学生にとって生涯忘れられない思い出になるものですが、台湾の学生を受け入れてくれた民宿の方にも喜んでもらえたことはとても嬉しかったです。

「ワーママ駐在員」として
私は民間企業在籍時に5年半北京に駐在したことがあり、機会があればいつかまた海外で働きたいと思っていました。そんな中で台湾駐在の話をいただいたのですが、北京駐在時は独身だったのに対して、台湾駐在の話をいただいたときには夫も息子(当時小2)もいました。家族との話し合いの結果、夫は日本に残り、息子は私と共に台湾に来ることに。地方公務員で母として海外駐在をしている(ワーママ駐在員)という存在が稀有であったこともあり、「新しい働き方を体現している」として「地方公務員アワード2023」をいただきました。
ただ、実際には私の働き方は徐々に「珍しいもの」ではなくなってきています。私と同様、子供を連れて駐在している女性(官民問わず)は、私が把握できているだけでも台北市内で20人近くいます。同じような境遇の彼女たちはまさに「戦友」。日々、公私ともに助け合いながら頑張っています。
実は自治体職員の海外駐在は、外務省やJETRO(独立行政法人日本貿易振興機構)やCLAIR(一般財団法人自治体国際化協会)など、さまざまなルートがあります(**)。もし海外での勤務に興味がある方で、「でも、子供がいるから無理だよな…」と諦めている方がいたら、ぜひチャレンジしてみてください。意外(?)となんとかなりますよ!
*市川さんにお聞きしたところ、静岡県は、国内では東京事務所・大阪事務所をもっているとのこと。それらの事務所に配属されれば、東京や大阪で勤務することになります。このほか、地方公務員には①自治体から国・関連機関への出向、②自治体間の出向(都道府県⇔市町村)、③被災自治体への応援などで、所属自治体の区域を出て働く機会があります。
**静岡県のケースでは、外務省・JETRO・CLAIRともいったん県庁からそれぞれの組織に出向し、出向先の組織で海外に配属されているとのこと。一般的なルートは、こうした出向先での海外配属か、もしくは市川さんのように「自治体が海外に開設した事務所での勤務」となるようです。
このほか数が多くはありませんが、海外駐在には、大学留学制度を設けて職員を派遣している自治体もあります。
(補足はcomコラム運営による)
市川さんのプロフィール
2013年に静岡県に入庁。2023年から台湾事務所勤務。
趣味:旅行
ストレス解消法:台湾アーティストのライブ観戦
記事作成協力:パブリシンク株式会社
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