2025-03-14
ドローンで社会課題を解決する時代に
~先端技術と公務員~

生活に身近になりつつあるドローン。 とはいえ、自治体の仕事とはあまり関係ない と思っていませんか?

ドローンのこと知っていますか?
皆さんは、ドローンと言われるとどんな印象を持っていますか? もしかすると、「卒業アルバムの写真がドローン撮影だった」とか「この前ドローンショーを見たよ」、「○○(推し)のMVはドローンで撮ったらしい」と、身近に感じている人もいるかもしれません。 ちなみに、ドローンが近年の社会課題の解決に、大きな役割を果たしつつあることを知っていますか? ①千葉県君津市・ドローンを使った橋梁点検の事例 橋梁とは、橋の総称のこと。高度経済成長期に建設されたものも多く、その老朽化や補修が社会課題になっています。 さて、そうした川や道路をまたぐ構造物を点検するといったとき、どんな機材が必要になるでしょうか? 通常は、高所作業車などの特殊車両を使ったり、ときに通行止めなど規制を行うなど、多くの時間や金銭コストをかけて点検が行われています。 このケースでは、カメラをつけたドローンを飛ばし撮影し、画像から損傷状況を確認するようにしたことで、点検コスト・業務に関わる時間が削減。交通規制も必要なくなり、利便性も向上させています。 ②長野県小谷村・鳥獣対策にドローンを活用する事例 皆さんもご存じのように、近年、鳥獣害に頭を悩ます地域が増えています。人間が襲われることもありますし、そうでなくとも農作物が荒らされる被害は深刻です(2023年度の野生鳥獣による全国の農作物被害は164億円(対前年度+8.0億円)にも上っています)。 被害が大きい地域では、害獣・害鳥の目撃情報があれば、地元の猟友会などに連絡をして、捕獲や駆除をしています。しかし、情報が入った後には対象の鳥獣がすでに立ち去っていることも、少なくないようです。 そこで、可視カメラ・赤外線カメラのついたドローンで、空撮した映像や、動物の熱感知、位置付き情報をリアルタイムで得るというのが、このケースです。取得された情報を捕獲・駆除の関係者に配信することで、効率的な捕獲活動を実現しました。
自治体とドローンの接点
ここまで読んで、「社会課題の解決、っていうか、自治体のお仕事?」と気づいた方がいらっしゃるかもしれません。 そのとおり、前の2例は自治体の職員が中心となり、民間会社や研究機関の支援・協力を得ながら実現してきた取り組みです。 このほかにも、過疎地域の物流対策や、災害時にアラートを発する、観光動画で空撮を活用する…など。自治体の現場でもドローンが活躍している事例がたくさんありますし、数年後には、今は予想できないような、ドローンを活用した政策が展開されているかもしれません。 自治体は、机に向かってする仕事が多いイメージがあるかもしれませんが、一概にそうではなく、ドローンのような先端技術に触れ、それを活用して社会課題を解決するような、ダイナミックな現場がある仕事でもあるのです。 最近では、DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進を目指す自治体が多く、デジタル人材の採用意欲も高まっています。そうした新しい技術の資格やスキルが、活きる・求められる職場になってきています。
「ドローンの講習」を受けたんです!
それはさておき、なぜ急にドローンの話をしたのか。 先日、一般社団法人ドローン大学校代表理事の名倉真悟(なくら・しんご)さんの講習を受ける機会に恵まれたことがあります。 名倉さんは、操縦ライセンス取得に向けた人材育成をされているほか、ドローンのビジネス活用など、幅広くドローンに関わっておられる第一人者です。 講習では、大きく①ドローンの歴史、②関連する国内外の法令、③ドローン大学校で行っている研修の内容、④近年のドローンの利活用について教えていただきました。 ④では、実際のドローンビジネスの展開をお話いただいたほか、国が進める「空の産業革命」のお話など(「空の産業革命に向けたロードマップ」)から、ドローンの利用が次の段階に入っていること、成長産業になっていくことを強く実感しました。 名倉さんが「ドローンのパイロットは東京や大阪から連れてくることもできる。だけれど、地元の人は、その土地の地形や気候をよく知っている。知っているからこそ、安全な航行ができるし、なによりその土地でのドローンの“使いどころ”が見える。だから、地元の人を優秀なパイロットとして育成するために取り組んでいる」とおっしゃっていたのも、印象的です。 人口減少のなか、人の目・手が届かない範囲に頭を悩ます自治体は多く、ドローン活用には関心が高まっているはずです。“使いどころ”という点では、自治体職員も今後、ドローンへの住民ニーズをしっかりと把握して、(実際に運転ができなくとも)その活用を考える「ブレーン」になるような能力が求められていくのではないでしょうか。ドローンの活用の場が広がれば、もしかすると、ライセンスが必要な職種が自治体に誕生している「未来」があるかもしれません。 (写真はドローン大学校の研修の様子(屋内) 提供:ドローン大学校)
一般社団法人ドローン大学校代表理事 名倉真悟(なくら・しんご)さんのプロフィール 1962年大阪生まれ、東京都港区在住。一般企業への就職を経て、大学時代に学んだマーケティングの知識を深めるため、立教大学大学院へ進学。その後、慶應義塾大学医学部の研究員となり、自動運転の研究に関わることでドローンと出会う。2016年、一般社団法人ドローン大学を設立し、パイロット・ドローンビジネスに従事する実務家の育成に力を注いでいる。北海道科学大学客員教授を勤めるほか、大学・高校・小学校などでも講演を行っている。著書『マンガでわかるドローン<改訂2版>』(2024、オーム社)は、中国・台湾・韓国・ロシアでも翻訳本が出版されている。

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