2025-01-14
公務員の仕事は無限大
草加市職員/安高昌輝さん

安高 昌輝(やすたか・まさき)30代 埼玉県草加市市長付みらい戦略担当兼市長室広報課 勤務

最初はネガティブだった公務員のイメージ
皆さんは公務員という仕事にどんなイメージを持っていますか。 実は私は、大学2年生くらいまで、公務員に対して「真面目でお堅い」「前例踏襲で新しいことができない」「やりがいがなくてつまらなさそう」といったネガティブなイメージを抱いていました。 学生時代に所属していたボランティア団体で、公務員と接する機会があったのですが、その人たちから「熱」が感じられなかったことも、ネガティブイメージの一つの要因になっていました。 そこで逆に「自分のまち草加を、だれもが住みたい、住んでいることを誇りに思うところにしよう。それが自分の使命だ。」と奮起。それができるのが公務員という仕事です。一番なりたくないと思う職業につく決意は、こうして固まりました。 市役所で働き始めると、公務員は「熱」のない人ばかりではなく、熱い思いをもっている(もしくは隠し持っている)ようでした。そして、公務員の仕事は私たち暮らしの基盤を支える重要な役割を果たしている、ということをより強く実感するようになります。 私が市役所で最初に配属されたのは、市民税課という部署でした。市民税課では、住民税や軽自動車税の課税(税金を課すこと)をするのが私の主な業務でした。 税金に関する業務は地味に見えるかもしれませんが、とても重要な仕事です。税金がなければ市役所の業務は成り立たないですし、市民の皆さんの中には収入が少なく、苦しい生活を送りながらも一生懸命に働いて税金を納めてくださっている方もいます。 だからこそ、公平で公正に課税することが重要です。市民税課に配属されて3年目の頃、私は、住民税の課税に関係する書類が、給与の支払先の会社から提出されていない事例があることに気が付きました。そこで私は新たな調査の仕組みを考えて提案し、その結果年間5000万円以上の税収アップに成功しました。 この経験を通じて、「目立たない仕事にも社会全体を支える力がある」ことを実感しました。公務員の仕事は、市民生活の根幹を支える非常に重要な役割を担っています。
公務員はまちづくりの主役になれる
公務員の仕事は社会を支えるだけでなく、まちの未来をつくる仕事でもあります。私はその後産業振興課に異動してリノベーションまちづくりという事業に携わり、空き家や空き店舗を活用した9つの民間プロジェクトの立ち上げに関わりました。 まちづくりにおいて私が大切にしたのは、「市民にまちの変化を実感してもらうこと」。そのためには何としてもこの事業を成功させなければならないと考え、事業に参加した民間プレイヤーの皆さんとともに、何度も議論を重ねながら事業を進めました。 土日の出勤もありましたし、会合はプレイヤーの皆さんの予定が合う夜に行っていたので、いわゆる「公務員=九時五時」とは違う世界です。ただし、熱量の高い方々との関わりは、そのことが気にならないほど、熱く、得がたい経験で、とても楽しいものでもありました。時には夜中まで議論を交わしたり、何千部ものチラシを自らポスティングしたり、自分にできることは何かを常に考えて走り続けました。 その結果、次々にプロジェクトが立ち上がり、市民の憩いの場がたくさんできました。今では全国各地の自治体が視察に来るほどのまちに成長しています。 公務員は、まちの主役として地域を良くしていく責任と可能性を持つ職業です。
広報紙リニューアルに挑んだ、後輩との絆
2023年、私は広報課に異動し、後輩とともに広報紙のリニューアルに挑戦しました。当時の広報紙は青と黒の二色刷りで、文字もびっしり詰まっており、市民からも「読みにくい」と言われていました。 そこで私たちは「読んでもらえる広報紙を作ろう」と動きました。 特に印象的だったのは、後輩とのやり取りです。「全国広報コンクールで内閣総理大臣賞を取ります!」と宣言した彼の熱意に応える形で、私も本気で取り組みました。 リニューアルするために、まずは自分たちの想いを形にした見本号を作成しようと考えたのですが、当時の広報課には予算がありません。そこで、他部署の課長や課長補佐に私たちの想いを伝え、「本気で取り組むので私たちに予算をください」と説得し、支援を取り付けました。 こうして作成した見本号をもって駅前で市民アンケートを行いました。その結果、80%以上の市民の方から「前より見本号のほうがいい」という評価をいただき、本格的なリニューアルに舵を切ることになりました。この挑戦を通じて、後輩とともに組織の意識を変え、市民に読まれる広報紙にするという成果を出せたことは大きな自信となっています。ちなみに、コンクールでは内閣総理大臣賞こそ取れませんでしたが、県推薦作品の広報紙部門で2位を受賞しました。
公務員は変化を恐れず、可能性を広げられる仕事
かつては「前例踏襲で新しいことができない」と思っていた公務員の仕事も、実は自分次第で無限に可能性が広がります。私はこれまで、税収アップやリノベーションまちづくり、広報紙リニューアルなど、様々な分野で課題に向き合い、変化を起こしてきました。 公務員の仕事は「固定された安定した仕事」では決してありません。市民の声を聞き、地域の課題に向き合いながら、自分のアイデアを活かして未来をつくる職業です。 私自身、大学時代には「公務員の仕事は退屈でつまらなさそう」と考えていましたが、今では公務員の仕事に大きなやりがいを感じています。特に「まちを良くしたい」という情熱を持つ仲間とともに挑戦できることが、何よりも楽しいです。 もし、あなたが「社会を良くしたい」「まちづくりに挑戦したい」という想いを持っているなら、公務員という選択肢をぜひ考えてみてください。公務員の仕事は無限の可能性に満ちています。私もまだ挑戦の途中ですが、これからも草加市をより良いまちにするために走り続けます! 一緒に新しい未来をつくりましょう!
安高さんのプロフィール
2011年に草加市に入庁。2023年から広報課、2024年から市長付みらい戦略担当を兼務。 趣味:特になし ストレス解消法:ちょっとしたことでもいいので、楽しいことや面白いことがないか探してみる。旅行やキャンプに行く。何かほかのことを考えて没頭する。 記事作成協力:パブリシンク株式会社

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