各科目(教養)の概要
数的推理・資料解釈とは
「数的推理」は、小中学校で学習した「算数」や「数学」の知識を使って文章題を解く問題と図形問題が多く出題されます。数的推理は苦手な方が多い科目の1つですが、その理由は文章題から自分で方程式を作って解くのが苦手という方が多いからだと思われます。出題分野は、おおむね「割合と比」「速さ」「図形」「確率」「整数」に分けることができます。
「資料解釈」は、資料(数表やグラフ)の数値などを読み解く問題です。
「資料解釈」は、資料(数表やグラフ)の数値などを読み解く問題です。
「数的推理」で必要なのは小学校で勉強した「算数」と中学校までの「数学」です。分数・小数の計算、最小公倍数・最大公約数、簡単な図形の面積の求め方、連立方程式の解き方は確認しておいてください。「資料解釈」は、多くの問題を解き、様々なグラフや表に慣れておく必要があります。「対前年増加率(減少率)」や「指数」「構成比」が頻出なので、計算方法などは確認しておきましょう。
判断推理とは
「判断推理」は、主に受験生の事務処理能力を問う問題の中でも、図・表を作図することが重視される問題や、論理力が問われる問題が多く出題されます。合否を左右する最重要科目と言われており、「判断推理」でいかに効率よく問題を解き、正答率を高めるかが重要です。
時間をかければ小中学生でも解ける問題が出題されますが、それをいかに素早く解くかがカギとなります。文章から推理する問題ですので、高い/低い、早い/遅いなどの読み間違えに注意し、問題文を読みながら解法に必要な図や表を書いて条件を整理し、解法パターンを身につけましょう。
空間把握とは
「空間把握」は、立体図形や展開図、図形を転がすなどの空間認識能力が問われる問題で、大きく分けて「平面図形」と「立体図形」があります。受験申込書に「空間把握」と書かれていなくても、「空間把握」は出題されると想定しておいた方がいいでしょう。
立体図形の見えない底面や裏面を推理したり、切り取られた立体図形の切断面の形状を考えたり、圧倒的に多くの受験生が苦手とする分野ですが、正多面体さえ押さえておけば、「展開図」もすんなり特徴が理解できるはずです。さらには、それらの「切断」や「回転」も理解が進むことでしょう。
文章理解(現代文・英文)とは
「文章理解」では、現代文・英文共に内容合致、主旨把握、空欄補充、文章整序などが出題されます。
まずは文章に慣れることが重要なので、過去の問題などに多く触れながら、限られた時間で問題を解く練習をしましょう。
政治とは
「政治」は、高校で学ぶ公民科の「政治・経済」に該当します。「政治」と「経済」、それぞれ独立した科目として捉えます。日本の政治は憲法に従って行われているので、「政治」の勉強の中心となるのは「憲法」です。専門科目の「憲法」だけでなく、「政治学」「国際関係」とも関連します。「政治」が「憲法」の導入になり、また「憲法」の勉強が「政治」の得点アップに繋がるとも言えます。出題数も多いので得意科目にして本試験に臨みたいものです。
まず学習すべきは「憲法」です。憲法は、人権規定と統治規定によって構成されます。そのほかに「国内政治の諸課題」「国際政治その他」が主要な出題分野になります。科目の性質上、時事問題になることもあります。勉強にあたっては、細かな表現の違いに気を配り、正確に覚えるよう心掛けてください。例えば、国会の権限と衆参各議院の権限が異なること、内閣総理大臣の指名と任命が異なることなどです。
経済とは
「経済」は、高校で学ぶ公民科の「政治・経済」に該当します。「政治」と「経済」、それぞれ独立した科目として捉えます。経済活動を理解するための知識と、それを理解するのに必要な理論から出題されます。専門科目の「ミクロ経済学」「マクロ経済学」を学ぶ上での導入として位置付けることができます。
主要な出題分野は、「市場経済」「国民経済」「国際経済その他」に分布し、相互に関連しています。理論的な問題であれば、ある条件の変化がどのような影響をもたらすのか、あるいは、いかなる要因である状況に至ったのか、と筋道立てて考えるよう心掛けてください。経済特有の堅い表現になっていても、日常の生産・消費について取り上げているのです。
社会(社会事情/時事)とは
「社会」は、高校で学ぶ公民科の「現代社会」に類似しています。内容は、現代の諸課題を取り上げる「社会事情」と「社会学」の学説になりますが、出題の多くは「社会事情」からです。また最近の状況(の変化)を問う時事問題になる場合も多いです。
広範囲からの出題があるものの、「社会事情」の主要な出題分野は、「労働問題」「人口問題・少子化高齢化問題」「社会保障」「地球環境問題」です。これらの分野に関し、法改正に伴う制度設計の変化、データの新旧比較等の時事的な要素が加味されたりします。「社会学」の分野では、学者名と学説名とを結び付ける問題が出題されています。
日本史とは
「日本史」は、登場人物・出来事等、覚えるべき情報量が多く、負担が大きいのが特徴です。そのため、歴史の順序にこだわらず、出題頻度の高い時代・出来事に絞ることで負担が軽減されることでしょう。時代に関しては、「古代」より「近現代」の方が多数出題されています。内容は、「政治史」、次いで「社会経済史」からの出題が多いので、「文化史」は後回しにしてもいいでしょう。
主要な出題分野は、時代別では、「鎌倉・室町・江戸時代」と、「明治・大正・昭和時代(近現代)」です。その他、ある1つの共通テーマに関し、各時代の事情を問うテーマ史も出題されます。出題形式は、正誤問題以外に新旧並べ替え問題もあります。ある出来事は、次の時代にどのような影響をもたらしたのか、あるいは、いかなる背景があって、その出来事に至ったのか、というように意識を働かせることも必要です。
世界史とは
「世界史」は、登場人物・出来事等、覚えるべき情報量が多く、負担が大きいのが特徴です。この点「日本史」も同じですが、さらに「世界史」の場合、国や地域別に情報を整理しなければなりませんし、国家間の関係も重要です。出題頻度の高い時代・出来事・地域に絞り、負担を軽減しましょう。時代に関しては、「古代」より「近現代」の方が多数出題されています。内容は、「政治史」、次いで「社会経済史」からの出題が多いので、「文化史」は後回しにしてもいいでしょう。
地域別では、「西洋史」(ヨーロッパ諸国やアメリカ合衆国の歴史)「中国史」「イスラム教国家史」が主要な出題分野になります。また、地域の限定なく「近現代史」も重要です。出題形式は、正誤問題以外に新旧並べ替え問題もあります。単に歴史上の出来事の正誤・順番を問う問題もあれば、ある出来事がもたらした影響や、ある出来事の背景を問う問題もあります。
地理とは
「地理」は、「日本史」「世界史」に比べると覚えるべき情報量は少なく、短時間で仕上げられます。分野によっては「政治」「経済」等の科目と関連するので、学習が相乗効果をもたらすでしょう。出題範囲としては、日本の地理情報より世界の地理情報の方が多数出題される傾向にあります。
「地理」は、各種の地理情報別に扱う「系統地理」と、国・地域別に地理情報を整理する「地誌」と、2つのアプローチがあります。「系統地理」はさらに、地球の自然環境に関する「自然地理」と、人間の生活文化に関する「人文地理」に分類できます。産出量・生産量など統計資料を用いることもあります。それぞれの分野から独立した、または分野をまたいだ問題が出題されます。
思想・文学芸術とは
「思想」は、高校で学ぶ公民科の「倫理」に該当します。「文学芸術」は「国語」の文学史、「日本史」「世界史」の文化史に該当します。どちらも出題数は少なく、公務員試験においてはマイナー科目といえますが、情報量は少なく暗記で対応できます。僅か1点かもしれませんがしっかり得点しましょう。
「思想」は、「西洋思想」「中国思想」「日本思想」に分類でき、「西洋思想」が特に重要です。「文学芸術」は、世界及び日本の文学・西洋の美術音楽が主要な出題分野です。どの分野においても、人名・所属名・作品名・学説名等の暗記になります。各作品・学説の背景・内容の詳細を問われることはまずありません。類似する語句を入れ替えた誤りの選択肢を切れるようにしましょう。
数学とは
「数学」は、小学算数、中学数学、高校数学が出題範囲であり、主に高校数学の数学Ⅰ・数学Aから出題され、まれに数学Bの数列や数学Cのベクトルが出題されます。出題内容はほぼ全てが計算問題であり、文章題、場合の数・確率、図形などの数的推理で取り扱う内容も出題されます。
各分野で取り扱われる基本法則と公式を理解し、各課題に適した公式を選びそれを運用する方法、計算の仕方、文章題に関しては読解力を養いつつ適切な方程式・不等式の作り方を学び、場合の数・確率に関しては条件を満たすパターン数の数え方、図形に関しては各々の図形の性質や定理の適切な運用を学び、問題演習を積み重ね、問題解決法を定着させることが必要です。
物理とは
「物理」は、中学理科第1分野の「力と圧力」「電流と磁界」「放射線」「仕事とエネルギー」「いろいろなエネルギー」および、高校物理基礎・物理から出題されます。出題内容は2つに大別され、1つ目は知識を問う問題であり正誤問題、空欄補充問題形式で出題されます。2つ目は計算問題で、ほぼすべての分野を取り扱います。
知識を問う問題の対処の仕方は、物理で取り扱われる現象の名称、その現象が起こる場合の条件、その現象が起こる原理や仕組みを理解し、説明できるようにすることです。計算問題の対処の仕方は、各分野で取り扱われる現象に関する公式を理解し、各課題に適した公式を選びそれを運用する方法、計算の仕方を学び、問題演習を積み重ね、問題解決法を定着させることが必要です。
化学とは
「化学」は、中学理科第1分野の「物質のすがた」「化学変化と原子・分子」「化学変化とイオン」および、高校化学基礎・化学から出題されます。出題内容は2つに大別され、1つ目は知識を問う問題であり正誤問題、空欄補充問題形式で出題されます。2つ目は計算問題で、質量・体積・密度・濃度・熱量などを取り扱います。
知識を問う問題の対処の仕方は、主な元素名と元素記号、分子名と分子式、イオンの名称とイオン式を正確に憶え、燃焼反応を表す化学反応式を書けるようにし、化学で取り扱われる現象の名称とその仕組みを理解し、説明できるようにすることです。計算問題の対処の仕方は、物質量を用いた簡単な計算や化学反応式を用いた計算の方法を学び、問題演習を積み重ね、問題解決法を定着させることです。
生物とは
「生物」は、中学理科第2分野の「身近な生物の観察」「植物の生活と種類」「動物の生活と種類」「細胞と体の仕組み」「動物の生活と仕組み」「生物の進化」「生物の細胞と生殖」「生物と環境」および、高校生物基礎・生物から出題されます。出題内容は知識を問う問題が大部分であり正誤問題、空欄補充問題形式で出題されます。計算問題はごくわずかです。
知識を問う問題の対処の仕方は、生物のからだを構成する各部位の構造と名称、生命現象の仕組みを理解し、その現象の名称を正確に憶え説明できるようにすることです。計算問題の対処の仕方は、代謝の分野では呼吸・光合成に関する化学反応式を用いた計算の方法、遺伝子の分野ではDNAの構造に関する基本的な計算の方法を学び、問題演習を積み重ね、問題解決法を定着させることです。
地学とは
「地学」は、中学理科第2分野の「大地の変化」「天気とその変化」「地球と宇宙」および、高校地学基礎・地学から出題されます。出題内容は知識を問う問題が大部分であり正誤問題、空欄補充問題形式で出題されます。計算問題はごくわずかです。
知識を問う問題の対処の仕方は、地球・太陽系・宇宙を構成する各部位の構造と名称、それらの活動の仕組みを理解し、その活動の名称を正確に憶え説明できるようにすることです。計算問題の対処の仕方は、地震波に関する計算、フェーン現象に関する計算、ケプラーの法則に関する計算、年周視差を用いた恒星までの距離を求める計算の方法を学び、問題演習を積み重ね、問題解決法を定着させることです。